傷口から人生。

公開日: 


メンヘラが就活して失敗したら生きるのが面白くなった

MYベストシーン

傷口から人生

私たちは他者からまなざされることなくしては生きてゆけない。
私は「自分の世界」に酔いやすい人間だ。
自分の世界の外側に、視点はおけない。
他人のまなざしを借りることなくして、私は私を見つめられない。
私は私を見つけられない

概要といきさつ

フリーライターとして活躍している小野美由紀さん著作。

本書を手に取った理由はただただシンプルっ!

メンヘラ女子というインパクトに惹かれた(゚Д゚)

著者は慶応卒の経歴意識高い系だと予想。
さらにかまってちゃんとか…

どんな就活談が飛び出すのか
就活生ではないものの興味を引かれたのである。

理想を詰め込み破裂

一番自分に合う、型が欲しいのだ。
誰にもなめられないような、一流企業っていう金ぴかの型。

予想通り、高学歴で海外留学経験バリバリなどの意識高い系の就活生だった著者。

しかしそれは理想の自分を詰め込んだ無理に空気を入れた人形…
虚栄心でぱんぱんに膨らみ、身動き身動きが取れなくなった著者。
そしてパニック障害という形で破裂…

そんな詰め込みすぎたモノをそぎ落とし、
最後に残る「自分の核」とは何か…

それを探すためスペイン行きを決める。
そして500kmの道のりを歩くカミーノ・デ・サンティアゴに挑戦。

一度全部捨てて自分を探す

障害で塞ぎこむのでなく、あえて外の世界へ行くというのは興味深い。

優等生は自傷癖持ち

手に取るきっかけとなったメンヘラ要素
中盤にさしかかってもなかなか見えてこなくて少しガッカリしていたのだが…
メンヘラ要素まだー(チン、チン)

中盤から濃厚に出てきました(゚Д゚)

自傷は自殺と違って、生きるためにやっている行為だ。
あの時私に、自分の感情を適切に表現する言葉と、
肉親にそれをきちんと伝えられるだけの勇気が
もしあったら、自傷など、しなかったと思う。

中三から自傷行為をするようになった著者。
文化際の委員をやるなど活発な生徒だったので意外である。

親からの過干渉と抑圧。
親の思う正しい教育の押し付け

そのやり場のない怒りを血液に変え外へ吐き出す…

そして母親の食卓に溢れる血や吐瀉物を毎日置く

ものすごく生々しくて圧巻(゚Д゚)

自分を見て欲しい。
その想いでもがき這いずり回っている感じがものスゴイ。

自傷=ただのかまってちゃんというイメージを
改める必要があるなと感じた。

また「瀉血」という注射針利用の自傷方法は初めて知った。

リスカでイメージする刃物の切り傷はつかずに
傷も残らず血が勝手に溢れだす…

第三者からの目では当人の自傷行為に気付きづらいのだ。

リスカ経験者は遠い人達だと思っていたが
気付かないだけで以外に近くにいたりするのかも知れない…

狂ったようにモテたい

狂ったようにモテたかった。
とにかく誰かに、「君はOKだよ」と言って貰いたかった。
女の性が最大の価値を持つ場所で受け入れられることが
私が大丈夫であることの証明になる気がした。

大学時代のサークルデビューで失敗した著者。
叩きのめされた自尊心を守るためにキャバクラで働く…

誰かに愛され、自分を受け入れられたい

闇金ウシジマくんのテレクラくん編っぽい話で非常に興味深かった。

未解決人間

未来を見続けていれば過去を考えずに済む。
足し算を続けてさえいれば、本当の自分は見ずに済む。
かりそめでも「イイ感じの私」を作り上げれば
一時的な評価は得られる。

肩書きや経歴で塗り固めた理想の私。
それは自分の中心を隠し安心するための行為だった。

自分の奥深くにうずめいているモノ。

解決しきれない親との問題があることを
余計なもので覆って見ないようにしていたと…

自分の中心となるものはなんというか美しく崇高なモノだと思っていた。

しかし案外、覆いたくなるような闇を中心に抱え、
ずっとそれに振りまわれていたことに気付くのかも知れない…

私たちは同じゲームをしているのではない

上がるのって気持ちがいい。もっと早く!もっと上に!
って社会の進むイキオイに飲まれて連れてってもらえる感じ。
でも、いつのまにかそれは、
自分がついてゆけるスピードじゃなくなっている。

人間誰だって上に行きたい。
少しでも良い環境に身を置きたいと思う。

しかしその速度が自分に合っているとは限らない。

周りの速度にいくら足並みを揃えようとしても
身体や精神がついてこないときが訪れるだろう。

そんなときに自分のペース、自分のやり方を意識し、
社会の速度に取りこぼされたと焦ってしまわないようにしたい。

他人のものさしに傷つかない

他人の幸せを、
勝手に自分のものさしで測ってしまう鈍さは暴力だ。
鈍くなることで自分を守らないと、生きていけない。
もろい部分は、人によって違う。
その部分を人に見せまいと、ものさしを振り回す

アドバイスは素直に受け入れることが大切だと思う。

しかしそのアドバイスが自分のものさしに合っていないことだってある。

傲慢にそのものさしを押し付け、満足して去っていく人もいる。
自分のものさしこそが正しいのだと確かめ安心するために…

その感覚はとても良く分かる。
一時的でも不安感を麻痺させ、安心を得たいのだ。

そしてボクも自分のものさしを
ぐいぐいと誰かに押し付けて傷つけていたかも知れない…

自分のものさしは自分だけを測るためのもの。

今の自分がちゃんと立っているのかどうかだけを測るために使い、
他人のものさしにも気にしすぎないようにしたい。

行くべき道を探している

カミーノは何も解決しない。
心が洗われるような景色にいても私はまだ酷い私だ。
でも、私は、一人じゃない

筆者が挑戦したカミーノ・デ・サンティアゴ
矢印の示す道をただ歩き続け聖地を巡礼していく旅。

決してカミーノを制覇したとしても別に何かが変わるわけではない。
答えが見つかるわけでも、弱さが消えるわけでもない。

しかしそれまで別の道を歩いてきた人々が、行くべき道を探すために集う。

道に迷った人々が世界中から集まる
その交流は自分の世界を拡張させてくれるかも知れない。
得られるものは多そうな旅だと感じた。

正直、本書を読んでいるときは「なんでわざわざ500kmも歩くのか…」と
興味ゼロであったが読破後は少し興味を持った。

総評

Bランク

就活に失敗した著者の自分探しの旅ということで興味深い話だった。

メンヘラ要素もタイトル詐欺ではなかった。
隠したい過去に対して向き合いよく書き上げたなと敬意の念を抱く。

そして自分探しの旅
(笑)をつけて呼んでいた言葉だがなかなか悪くないなと思った。
人生の再チューニング時に検討してみたいなと思えた。

usiroyubi

written by うしろゆび

社会人3年目の社畜ゲーマー。二次元で学んだことを活かしリアル人生ゲーム攻略中。能動的に学び、投資や節約でせっせと資産を増やし、セミリタイア後はゲーム三昧の日々を過ごそうと目論んでいる。

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