虹の魔法
○MYベストシーン
僕は強くなるために父の喋り方を真似し、
癖を模倣し、好きな音楽まで倣った。
でも魂まで真似できなかった。弱い自分のままだ。
こんな私を、好きに為ってくれてありがとう。
○痛みの伴う秋
美しい夏を過ぎて迎えるのは少し寂しげな秋
肌寒くなり、一年間が終わろうとするあの寂しさの増す季節だ。
「このゲームは芸術だッ!」
そう言ってこのゲームを布教しているボクにとって本作、
秋篇はもう芸術が爆発しまくりであった…
芸術爆発戦地に赴き、無事にプラチナトロフィーは取り終えた。
しかしボクがこの秋篇で得たのはその芸術爆発っぷりの後遺症…
おっさんのハートには耐えられない痛みだッ!
○世界が広がり痛みを知る
本作の主人公はニカイアの会会長。
蘇芳達にとって一つ先輩の八代譲葉
少しセクハラめいた発言も多いがそこは愛嬌。
周りへの気配りができる蘇芳ら一年組にとって頼りになる先輩。
ネリーと蘇芳君は、美しくはあるが…綺麗ね、
で終わらないどこか望郷の念を抱かせるような、
心の弱い部分を掴まれるような美しさなのだ。
だから憧れられはしても、友人に囲まれるようなことはない。
そんな彼女が想いを寄せるのは前作等をプレイしていれば検討はつく…
ニカイアの会副会長、小御門ネリネ
譲葉はネリネの幼馴染にあたり、彼女をネリーと呼ぶ間柄。
そう二人の関係は長い時間を積み重ねてできたものなのだ。
春篇、夏篇は出会った少女達が次第に惹かれていった
しかし本作、譲葉はネリネへの気持ちが一杯の状態から物語は始まる。
「ずっと…親友でいましょうね。譲葉」
心の内が温かく、そして冷える言の葉。
FLOWERSは季節がめぐる度に世界が広がっていくのが魅力的だ
しかしこの二人の関係を知ることは大きな痛みを伴うこととなる。
○真実と向きあい赦す痛み
譲葉、貴女は私のことを慕って…
幼い頃、内気だった自分を救ってくれたと
恩に感じてくれているけれど…
本当は、それは優しいおとぎ話のようなお話ではないの。
私に付いてくる貴女のことを友人と思うよりも、
何でも言うことを聞く愛玩動物のように扱っていた。
何でも言うとおりにするのが嬉しくて、
私は貴女に洗礼を受けるよう仕向けた
譲葉がネリネに惹かれる理由について丁寧に描く本作。
前二編ではまったく予想だにしなかった
ネリネの綺麗な面だけではなく、内側の醜い部分も見せてくる。
本シリーズ特有の繊細さな痛みだ。
赦せる間違いは幾つもある。
だが、赦せない過ちもあるんだ。
これは…赦せる方の過ちだよ。
しかし最後にはそんな痛みを乗り越え綺麗に
話をまとめてくるから流石だと言わざるを得ないッ!
○受け入れて貰う痛み
「理解しようと勤めている」
…そうか。僕を知りたいと
恒例のアナザーヒロイン。
まさかの双子の妹、沙沙貴林檎
ニカイアの会会長の譲葉はとにかくモテる。
しかしネリーへの想いの強さから告白されても断ってきた。
ずっと秘めていた思慕の情は、この暗い闇と
静寂の中で消え失せてしまったのだと知った。
とても静かに。
しかし弱っている譲葉の心を埋めたのがまさかの林檎。
あまりの抱擁力の高さに脱帽であるッ!
恋破れた女の子の口説き方を知った
○選択することの痛み
対等というのは5対5ってことだろ。
力関係が崩れていくと6対4、7対3となっていく。
こいつを掛けてみると5×5は25だ。
6×4は24。7×3は21。徐々に歪み弱まっていく。
健全な関係はそれだけ尊いということだよ。
失ってからでは遅い、今の関係を大切にしたまえ。
秋篇で譲葉の友達として登場するのが
夏篇で登場した考崎 千鳥
初めは気の佳い振りをして小さい恩をどんどん売って行く。
そして溜まりに溜まったところで仕事を頼む。
断りづらい状況を作るんだな。
そして裏の仕事を手伝わせ自分の一味に引き入れるんだよ。
借りを作るのも関係を密にするためと割り切るなら悪くない。
そして八重垣えりかの二人。
譲葉の想いに理解のある二人。
そんな二人からの提案は優しいこともあり
一歩を踏み出すのは誰でも怖い。
でも、踏み出さなかったら、ずっと同じ 場所でとどまってしまう。
それは選ぶ側も、選ばれる側も損なわれる行為ではないでしょうか?
厳しい痛みを伴う言葉もあったりする。
後輩ではあるが夏篇で一皮も二皮も剥けたカップルによる助言。
まさかこの二人が譲葉のサポーターになるとは…驚きである。
○強くなると決意した痛み
貴女はまだ手が届くところにいるのです。
訊ねたら答えてくれるところに。
「小御門ネリネ」は「匂坂マユリ」です。
えりかさんからも頼まれているんです。
しょげている先輩の尻をわたしの代わりに蹴ってやってくれって。
そして春篇の主人公、白羽 蘇芳
彼女は秋篇になり大きなアクションを取ると伴に、
ものすごく強い女性へと変貌した。
先輩である譲葉に渇を入れるくらい成長した蘇芳
いくら遠ざけてくる先輩に対しても救いにくる彼女。
春篇の弱く脆かった彼女だが
季節の巡った秋篇では痛みを克服し大きく成長していた。
○純粋に腹が痛い
シリーズも三作品目となる本作。
各キャラの特徴も明確になってきたのか…
ギャグ要素も積極的になってきたッ!
美しいだけではなく笑い所もしっかり押さえてきたなと感じた。
○総評
Sランク
三作品目でそろそろ失速するかと思ったけど…
まったく失速しない面白さッ(゚∀゚)!
美しいだけではなく、なにか寂しさを感じる秋らしいテーマだった。
本当に…流石だなと言わざるを得ないッ!
残す季節はあと一つ。
このまま駆け抜けてシリーズ総評でもSランクを貫いてくるか見物である。
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