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砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない

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不思議な少女の魅力

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○MYベストシーン

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない桜庭一樹

子供はみんな兵士で、この世は生き残りゲーム


ゴシック作者によるライトノベル

GOSICK -ゴシック-シリーズで有名な桜庭一樹の一作。

この小説は一ページ目から最大のネタバレがある。
主人公の友達である海野藻屑バラバラ殺人で見つかるのだ。

新聞記事という形で記載されるこの数行の文章で、
もう避けることのできないバッドエンドを読者は知ることになるのだ。

この作品の読破後に「あー面白かったぜ☆」で本を閉じることはないだろう。

後味の悪い、何かが絡まった気分になるだろう。
しかし、これはただのバッドエンドではないと僕は思う。
主人公は中学卒業後に自衛隊入隊を希望するな女の子。

はやく大人にならざるを得ない生活環境であり、お金を稼ぎ、
はやく自立したいというリアリストな子だ。

未熟な考えながらもこの世を生き抜く為の実弾を手にしたい。
そんな主人公と対義するのが転校生の海野藻屑。

まず名前が大問題であり、入学初日から問題発言の連発。

「ぼくはですね、人魚なんです」発言には作中の登場人物は勿論、

読者も面食らってしまうインパクトがある。一言で言うと中二病女子
彼女の空想発言は現実では何の力も持たない弾丸。

お菓子の家のような子供が見続ける砂糖菓子の弾丸を撃ちまくる。
周りから見ているとひたすら痛い子としか言えない子。

しかしこの子の生活環境もすさまじく父親からの暴力に曝される日々。
中二病設定だと思っていたものは、実は暴力による障害だと知らされる。

そんな主人公と藻屑は安心を求めて逃げ出すのだが、
読者はすでにバッドエンドへ向かうことを知っている。

だからこそ、この場面で藻屑が殺されてしまうのだと気付き、切なくなる。
そしてそのイベントは主人公の知らないところで、小説の行数5行の間に済まされる。

藻屑の死は主人公の力では避けることのない予定調和。
100回人生を繰り返しても打ち破ることのできないイベント。

とにかく始めの一ページを全否定したくなりながら、読み進めてしまった。
「嘘☆藻屑は人魚なんだから、泡となって消えただけでした」なんてことを信じたくなる。

読者も主人公と同じく藻屑の砂糖菓子の弾丸を信じたくなってしまうのだ。
連日繰り広げられる子供達の死のニュース

虐待、交通事故、イジメ、自殺と子供達の生きる世の中は複雑だ。
死亡フラグなんてそこらじゅうに落っこちている。

学校なんてサバイバルゲームの連続だったと僕も思う。
例えばイジメられるヤツがいなければ、自分が標的になるかも知れない恐怖が存在する。

みんなイジメから回避されるのに必死なのだ。
不幸なヤツがいるから幸福な自分がなりたつ。
甘ったるい理想論の弾丸なんて通用しないのが現実だ。

藻屑の事件により主人公の生活環境は大きく変わり、
中学卒業後の進路は大きく変わった。

自衛隊になり自立するのでなく、高校進学へと変えられたのだから。
主人公にとっては悪いエンディングではないのではないだろうか?

ネタバレ控えめに書いたので、興味がある方は読んでみてはいかがでしょうか?

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この記事を書いた人

2011年から大好きなゲームから旅行に読書などを雑に記録。チラシの裏にでも書いておけな記事が多い。

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