〇MYベストシーン
おっぱいも恋心も、秘すれば花。
そうなのだ。剥き出しの恋心を書き、書いたものにとらわれて、
自分の情念に溺れるから恋文が腐臭を放つのです。
つまり、俺が書くべき恋文、真に有効な恋文とは、
恋文に見えない恋文ではないのか。
〇概要
著者:森見登美彦
アニメ化された有頂天家族で有名な作家。
最近参加している読書会の課題本だったので手に取ってみた。
〇想いを押し付ける恋文は気持ち悪い
自分の想いを文章に託しているのか、それとも書いた文章によって想いを捏造しているのか。
「恋文」を文章で捏造する行為に夢中になっているだけではないのか。
「恋文」を書くという行為そのものが、誤った行為なのではないか。
相手に紙に書いた自分の想いを投げつける行為そのものが気持ち悪いのではないか。
意中の相手、伊吹夏子への恋文作成に四苦八苦する主人公。
想いを伝えようとすればするほど気持ち悪い文章になる。
そして自分ではない大言壮語な別人や賢い人物のような印象を作り上げようとする気持ちが痛いほどよく分かる。
恋文(ラブレター)という告白方法は悪手
恋心を忍べない単純な男が恋文を書くのは至難の業だ…
〇べつに何も学ばなくていいのです
このお話から何を学ぶべきでしょうか。
べつに何も学ばなくていいのです。
でも世の中には、こういう切ない想い出をもつ人がたくさんいる、
ということを知ってるだけで何だかホッとしませんか。
少なくとも、先生はそういうお話をたくさん知っていて、それは先生の財産です。
家庭教師としての立場から教え子へ送った主人公の手紙。
学ばなくてもいいから、ただ知っておいて欲しい
それが財産になるという言い回しが好きだ!
他の誰かが泣いているということを知るのは安心感がある。
たとえフィクションだろうがこれからも多くのお話を財産にしていきたいものだ。
〇総評
Bランク
やっぱりモリミーの作品は言い回しや独特な単語が出てきて読みやすく面白いッ!
猫ラーメンとぷくぷく粽ってなんぞ!
そしてなんだかんだで実用的な部分もあり、少し考えさせられた。
アニメや映画で森見登美彦作品に触れることが多かった。
しかし小説で触れてみるのもまた面白いなと思った。
また他の作品や映画の原作なども読んでみたい!
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